2010年1月2日土曜日

プログレッシヴなゲームミュージック集 Vol.1

2年ほど前にニコニコに投稿した動画「プログレッシヴなゲームミュージック集」の能書きを旧ブログに書き残していたのだけれども、改めて手を加えて書き直し(といってもあんまり変わってないけど)てみる。



●Tim Follin
「ソルスティス 三次元迷宮の狂獣:メインテーマ」


90年に発売された英国開発の洋ゲーファミコンソフト、そのタイトル曲。作曲者のTim Follin氏は当時若干20歳でこの曲を作曲したというのだから恐ろしい。本人は別にそこまでプログレッシヴ・ロックが好きというわけでもないそうなのですが、PFMの「Celebration」を彷彿とさせられるイタリアン・プログレみたいな暑苦しくて疾走感にも溢れるアグレッシヴな構成の楽曲は、20年経った今聴いても全く色あせないのが凄い。FC音源を突き詰めた究極の形のひとつがこの曲なのではないかと。


●中潟憲雄
「暴れん坊天狗」


90年にメルダックより発売された不朽の(?)バカゲー。作曲は、AQUAPOLISというプログレ・バンドに在籍していた中潟憲雄氏。氏の作る曲は結構プログレッシヴなものが多いのでありますが(源平討魔伝然り)、暴れん坊天狗はプログレぶりはかなりのもので、やたらと高いゲームの難易度と相まって良い味出してます。FC音源でよくもまあここまでエキセントリックなものが、と驚かされること必至。ちなみに『Discipline』期のKING CRIMSONみたいな曲があるのですが、その曲のタイトルが「Cream Zone」というのもまた面白い。


●すぎやまこういち
「ドラゴンクエストII:魔の塔」


すぎやま氏の楽曲はチェンバー・ロックの匂いがするとさる方が言われていましたが、塔の曲を聴くとなるほどその通りだなと思います。というかチェンバー・ロック自体クラシックから派生したような音楽性なので、チェンバーっぽいと感じるのもある意味必然なのやも。ダンジョンの階層を降りるごとにピッチが下がっていくドラクエIの趣向も考えようによっちゃプログレですね。


●伊藤賢治
「サガ・フロンティア:ラストバトル~エミリア」


割と現代的なプログレ・ハード。サガフロンティアのボス曲制作にあたってイトケン氏は自称プログレ博士である植松伸夫氏にプログレ指南を受けたそうで、このエミリアのラストバトルはそんなノウハウが生きております。


●松枝賀子
「バハムートラグーン:ボスバトル」


非常にEL&Pの匂いを感じさせるテンションの高い1曲。


●桜庭統
「ヴァルキリープロファイル:急減至極生命力」


プログレバンド(Deja-Vu)在籍時代から現在に至るまで、変わらぬスタンスでプログレを展開している桜庭氏。それがまた氏のいいところでもあります。ヴァルキリープロファイルの楽曲は節々からDeja-Vu時代のニオイを感じます。


●石川三恵子&古代祐三
「ソーサリアン(消えた王様の杖):ダンジョン~ヒドラ~生還」


ファルコムは今も昔も何かしらプログレ~ハードロック系楽曲が作品に登場しているなあと。「生還」は後に難波弘之氏がアレンジしたヴァージョンもこれまたプログレッシヴな仕上がりになっていて素晴らしい。


●小川文明
「キーボードマニア:ARMAJIRO」


タイトルの"アルマジロ"も含めてEL&P『Tarkus』のパロディ。ちなみにこの曲のフル・ヴァージョンは中間部でPINK FLOYDのオマージュのような展開にもなる。他にも文明氏は DEEP PURPLEをパロった「Burnin'」、リック・ウェイクマンをパロった「Henry Henry」という曲をキーボードマニアの1stに提供しております。こちらも必聴。


●佐々木博史
「ギターフリークス&ドラムマニア:The Least 100 Sec/Timepiece phase II」

佐々木博史氏もまたEL&P系な作風でもって今なお絶大な人気を誇るお方。唸りを上げるシュレッドなギタープレイは泉陸奥彦氏によるもの。


●コナミ矩形波倶楽部
「グラディウスII:Burning Heat/A Shooting Star/The Old Stone Age/Shoot And Shoot」

コナミ矩形波倶楽部はどっちかというとフュージョンに分類されるんでしょうが、プログレ的な要素も多分にあります。彼らの作風がお好みならイギリスのプログレ・バンドであるIT BITESがオススメ。


●Project SATAN(増子司/米光亮)
「女神転生II:Omega~聖戦~(アレンジ)」

原曲もKING CRIMSONっぽいのですが、米光亮氏によるアレンジで完全にKING CRIMSON化、ポリリズム、フリーキーなギター&ヴァイオリンが飛び交うこのアレンジの入れ込みようは素晴らしい。サントラのライナーでの「唯一神はクリムゾンの王様」という増子氏のコメントも非常に思い入れを感じさせる。


●福田裕彦
「エメラルドドラゴン」

佐藤天平氏はPC版で楽曲を担当されていたので、動画の表記は間違い。福田氏はSFC版とPCエンジン版の作曲を担当。非常にテンションが高く、プログレッシヴでなおかつ様式美全開、強烈です。ちなみに福田氏はスーパーボンバーマン2や、天外魔境IIの作曲も担当されております。


●菊田裕樹
「聖剣伝説2:最後から2番目の真実」

「危機」や「子午線の祀り」にも劣らないプログレ的名曲だと個人的に思います。煌びやかな曲調もさることながら、ベースラインがまた素晴らしい。ソロパートも聴きもの。


●植松伸夫
「ファイナルファンタジーVI:妖星乱舞」

四部構成、17分に及ぶ、SFC史に残るといっても過言ではない一大大作組曲。キース・エマーソンの大仰さに、イタリアンプログレの濃さを組み合わせたといったところでしょうか。特に第四楽章はタルカスからの影響大。