2013年10月25日金曜日

DADA(泉陸奥彦&小西健司) 『DADA』(1981) / 『城壁/鏡の中の家』(1994)

DADA(紙ジャケット仕様)DADA(紙ジャケット仕様)
(2013/10/09)
ダダ

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 後にジャズ・ロック・バンドKENNEDYを結成、コナミ矩形波倶楽部の一員としての活動を経て、現在はコナミデジタルエンタテイメント所属のコンポーザーの一人である泉陸奥彦(Gr.Syn.Violin.Noise)。後に4-Dを結成し、90年代にはP-MODELに加入する小西健司(Syn.Noise)。彼ら二人によって70年代に結成され、70年代後半から80年代初頭にかけて関西圏で活動していたのがこの「ダダ」。マニアックな存在ながら、二人の活動の原点を知る上では欠かせないユニットです。ダダの音楽性は一口でいうと実験的なエレクトロニック・ミュージック。空間をつんざく歪んだギター、ロマンティックでメランコリックなシンセサイザーの織り成すフレーズは、テリエ・リピダル(ECMレコードでの活動で知られるジャズ・ギタリスト)やヴァンゲリスの作品からの影響が色濃く、また、楽曲の持つ静謐さにはTANGERINE DREAMやFRIPP&ENOのような印象を感じさせます。先ごろキングレコードより紙ジャケット仕様で再発された『DADA』は、彼らの2ndアルバムにしてラストアルバムとなった作品で、上記のような趣向にさらに実験的ニューウェーヴ志向も加わり、ストレンジかつバランスもとれた内容になっています。ギラギラとしたビートやドラマティックなフレーズを打ち出した「Perpetual Motion」「America」。滴り落ちる水滴をイメージさせるミニマルな小品「Stainless Mama」。激しく駆け巡るギターと強度のあるモーグシンセの絡みが秀逸な「飛行船 Part 3」。テープコラージュ、ユーモラスなSEサンプリングを散りばめた「A.T.B」「ジロ君のお誕生日会」、そして淡い光で包み込んでゆくような展開が感動的な長尺のラストナンバー「アルルの太陽」と、バランスもさることながらアルバムの流れも非常に良く、当時のお二人の意欲と野心がヒシヒシと伝わってくる作品に仕上がっています。





城壁 スペシャル・ライヴ(紙ジャケット仕様)城壁 スペシャル・ライヴ(紙ジャケット仕様)
(2013/09/25)
ダダ

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 先ごろマーキー/ベル・アンティークよりリリースされた『城壁/鏡の中の家』は、94年に同レーベルからリリースされた『城壁~スペシャルイシューVol.1』の改訂版。79年にライヴ会場限定で販売していた両A面カセットテープアルバムの収録内容に沿った上でのCD化となっており、1曲目に泉氏が作曲した約24分の「城壁」、2曲目に小西氏の作曲による約31分の「鏡の中の家」を収めています。「城壁」は、センチメンタルなメロディとミニマリズムで濃密な空間を演出していくシンセサイザー・インスト。時折ギターが唸りと共に切れ込んでくる場面もあり、ゆるやかな中にもある種の緊張感も孕んだ大曲です。日本のメディテーショナル・ミュージックの偉大なる先達であるファー・イースト・ファミリー・バンドに近いところも感じました。「鏡の中の家」は今回初めて聴いたのですが、小西氏がマイク・オールドフィールドの『Ommadawn』から色濃く影響を受けて制作したというだけあって、メディテーショナルな中にも牧歌的なテイストが顔を覗かせる仕上がりになっています。こういう曲も書かれるのか、と、少々意外に感じつつも、興味深く聴き入ってしまいました。

ちなみに、94年にリリースされた盤は、自主レーベル"Vanity"よりリリースされた1stアルバム『浄』と、前述の『DADA』の間、つまり78年から81年の間に制作されたデモテープの音源(中には「飛行船 Part 1&2」や、「アルルの太陽」のプロトタイプ版も含まれていました)を収録した全10曲入りという内容でした。詳しい曲目については、こちらを参照のこと。
★bemani series soundtrack list -「城壁~スペシャルイシューVol.1」
http://bemanicd.web.fc2.com/extra/castlewall.html

泉陸奥彦:Wikipedia
4-D mode1 OFFICIAL WEBSITE

All About【4-D再編!小西健司さんへの質問】