2014年7月21日月曜日

素性不明、方向性不明、中毒性高し。謎が謎と謎を呼ぶプログレ・アーティスト Terrible Thing

bandcampを漁っているとヘンな作品もチラホラと見つかるのですが、その中でも最近特に引っかかったのがこのTerrible Thing(アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンド Terrible Thingsとは全く別モノ)。恐らくはソロ・ユニットだと思われるのですが、bandcampには公式サイトやfacebookなどのリンクもなく、プロフィールの記載を見ても素性がほとんどわかりません。楽曲のタグに「Vancouver」と付いているところから、カナダ出身ではないかというのがかろうじて推測できるくらいです。bandcampで作品を発表し始めたのはどうも最近らしく、2007年から現在に至るまでのアルバム/楽曲が、いずれもname your priceで立て続けにアップロードされております。その音楽的方向性は毎回異なっており、フォーク、スペース・ロック、プログレッシヴ・ロック、ミクスチャー・ロック、テクノ、エレクトロと節操がないところもますますミステリアスさに拍車を掛けております。というわけで、そんなTerrible Thingの全作品を軽く紹介してみたいと思います。




2007年1月にリリースされたという、bandcampに上がっている彼のディスコグラフィの中では最古の作品。その名も「イカLP」。DTMソフトのgaragebandで作曲された、スットボけたカントリー・フォーク路線のシンプルで小気味の良い歌ものが中心。一応コンセプトアルバムだそうで、深海を冒険した一人の男について歌っているようです。



2014年6月18日リリース。抽象的な歌詞に彩られた、60~70年代のクラシックなロック/ポップス テイスト溢れる1曲。



2014年6月18日リリース。現在制作中だというアルバム『Journey to the Centre of Zorn』の最後の曲だそうで、ファンキーかつユーモラスなプログレッシヴ・インストゥルメンタル。なかなか秀逸。



2014年6月23日リリース。マイルドさと厚みのあるコーラスワークもたっぷりと活かしたピアノ・ロック・チューン。



2014年6月23日リリース。少女シモーネについて歌った1曲? ちょっと気持ち悪いコーラスワークと、サビのフレーズがこびりついて離れない、絶妙な味のある1曲。



2014年6月23日リリース。8bit風サウンドのパート1、カントリー・テイストのパート2から構成される、宇宙飛行士を歌ったヘンな曲。もしかしたらデヴィッド・ボウイの名曲"Space Oddity"へのリスペクトなのでしょうか。


2014年6月24日リリース。フランク・ザッパ影響下のポップ・センスも如実に出ているミクスチャー・ポップ&ロック。



2014年6月26日リリース。MJリスペクトな感もある、エレクトロ・ファンク。アーバンなムード…とは微妙に言いづらい。



2014年6月26日リリース。ツヨイ・カタナを煌かせ、武士道を貫く神秘的なサムライ・ウォリアー ユーコ=サンを称えたジャポニズム溢るる1曲。厳かなアカペラのイントロから一転してのチャカチャカと軽快な曲調もさることながら、若干日本語っぽく歌っているように聴こえるのが妙にツボです。Terrible Thingの楽曲の中でもとびっきりの珍曲であるのは間違いないと思います。Why did she have to swallow my berries whole?…ってラストの一説が意味深。



2014年6月26日リリース。GENTLE GIANTやKESTRELなどの70年代ブリティッシュ・プログレに接近したかと思ったらフランク・ザッパみたいになる宇宙的1曲。やたらタイトルが長いのですが、直訳すると「極微の生体力学的生物の破壊に関連する変容」。プログレっぽいですね。



2014年6月27日リリース。チューバッカについて歌ったトリッキーなヘヴィ・プログレ・チューン。ヴォーカル/コーラスのメロディラインがフランク・ザッパっぽさもあります。この曲には2つの音楽的テーマを内包しているそうで、2つ目は少し探すのが難しいのだとか。ヒントはケヴィン・スミス(映画監督/脚本家)だそうですが、自分にはよくわかりません。



現時点(2014年7月)現在最新の曲。何から何までチープなインスト・チューン。これまでの曲とは趣向を変えたそうで、言うなれば"Shanghai Bicycle Chase"みたいなもの、だそうな。ますます意味がわかりません。


Terrible Thing - bandcamp