2015年9月28日月曜日

弦楽隊を迎えての練りこまれたモダン・プログレ ― The Aaron Clift Experiment『Outer Light, Inner Darkness』(2015)

Outer Light, Inner Darkness
Outer Light, Inner Darkness
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Aaron Clift Productions (2015-09-18)



 2012年初頭にヴォーカリスト/キーボーディストのアーロン・クリフトを中心に結成されたテキサスのプログレッシヴ・ロック・バンド The Aaron Clift Experimentは、GENESISやPINK FLOYD、RUSHといった先達や、Porcupine TreeやOPETHといったモダン・プログレ勢からの影響に、各メンバーの持つハード・ロックやジャズ嗜好を加味していった音楽性を展開する気鋭のバンド。同年夏にデビューアルバム『Lonely Hills』をリリースし、好意的な反応を得られた彼らは、その後ギタリストとベーシストの交代を経て次なるレコーディングに着手、kickstarterでのクラウドファウンディングも募りながら、約三年の歳月を経て完成したのが本作『Outer Light, Inner Darkness』です。



 アーロンはプレイヤーとして以上にコンポーザーとして優れたセンスの持ち主であり、穏やかなヴォーカルを主軸に開放感のある楽曲を展開しており、タイトで抑制の効いたつくりや、どこか牧歌的なイメージは同国のENCHANTやECHOLYNにも通じる感触。ドライヴ感はあれどプログレッシヴ・メタル的なアプローチまで行かないのは、やはりRUSHから強く影響を受けているがゆえでしょうか。前作ではフルート奏者を迎えておりましたが、本作ではヴァイオリン奏者/チェロ奏者を五名迎え、大々的にフィーチャーしています。冒頭を飾る"Kissed by the Sun"は、アーロンのメロディセンスと華麗なストリングスサウンドが遺憾なく発揮された一曲。続く"Locked"のような爽やかなオルタナ・ピアノ・ロックから、"The Last Oasis" "The Bathed Moonlight"などのスロウテンポのシンフォニック・ロックやバラード曲に至るまで、一体感のあるバンドサウンドをじっくりと聴き込める仕上がりです。練りこまれたアルバムの方向性を考えるとハイペースでのリリースは難しそうではありますが、てらいなくアメリカン・プログレッシヴ・ロックの魅力を体現したバンドだけに、次回作にも大きく期待したいです。



『Outer Light, Inner Darkness』- progstreaming
全曲ストリーミングで聴けます(※期間限定)


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