2016年1月26日火曜日

音を操り、音に遊ぶ、北欧のネオ・ダダイスト― Jono El Grande『Melody Of A Muddled Mason』(2015)

Melody of a Muddled Mason
Melody of a Muddled Mason
posted with amazlet at 16.01.25
Jono El Grande
Rune Grammofon (2015-10-30)
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 ノルウェーのコンポーザー/ギタリスト ジョノ・エル・グランデことJon Andreas Håtunの通産6作目となる新作ソロアルバム。即興詩とノイズを組み込んだポスト・パンク・バンド Mannes Fatalesのヴォーカリスト/作詞家としての活動など、いくつかのバンドを渡り歩いたのち、1999年に1stアルバム『Utopiske danser』でソロデビュー。以後、北欧プログレ/アヴァン・ジャズの層が厚いことで知られる「Rune Grammofon」レーベルを拠点として活動を展開。フランク・ザッパ、キャプテン・ビーフハート、KING CRIMSON、GENTLE GIANT、MAGMA、HENRY COWなどのバンドや、ショスタコーヴィチやストラヴィンスキー、バルトークなどの作曲家からの影響を、ダダイズムからの影響も汲んだ(2009年にリリースした3rdアルバムのタイトルは『Neo Dada』でもありました)パフォーマンスやヴィジュアルとともに独自に昇華しております。2000年には大編成オーケストラ「The Jono El Grande Orchestra」(後にJono El Grande & The Luxury Bandに改名)を立ち上げるという豪快な手腕も発揮。まさに奇才と呼ぶにふさわしい存在であります。マリンバ/ヴィブラフォン奏者、サックス奏者、数名のヴァイオリン/チェロ奏者によるアコースティック楽器隊を擁する編成を擁して彼が紡ぎあげる室内楽 meets ジャズ・ロックなサウンドは、優雅で朴訥としているようでシレっととんでもないところに足を踏み入れてしまう愉快なもの。ジャンルの枠にはめ込みたがる聴き手の追求を軽々とかわしてしまうしたたかさもあります。今やすっかり陳腐化した定型句とはいえますが「おもちゃ箱をぶちまけた様な」という形容は、この人の作風に対してはかなりしっくりハマる、といったところ。




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