2016年4月28日木曜日

異色のRPGを貫く濃厚なミクスチャーサウンド ― YAMANTAKA//SONIC TITAN&PANTAYO『Severed OST』(2016)





 カナダ・モントリオールを拠点とする「ヤマンタカ//ソニック・タイタン」は、中国とアメリカの血を引くアラスカBと、日本とスコットランドの血を引くルビー・カトー・アトウッドの二人が2007年にコンコルディア大学の芸術学科で出会い、「Lesbian Fight Club」なるユニットとして出発。その後バンドに発展し、2011年にアルバム『YT//ST』でデビュー。2013年には媽祖(道教における航海の守護神)をテーマにしたコンセプトアルバム『UZU』をリリース。また、2012年にはKlei Entertainment開発のニンジャアクションゲーム「Mark of the Ninja」にエンディングテーマを提供、同曲はデジタルEPとしてリリースもされています。“PSYCHEDELIC NOH(能) WAVE OPERA FROM THE BEAST ASIAN DIASPORE”を標榜し、サイケ、フォーク、ポップ、メタル、シューゲイザー、プログレ、ノイズ、仏教思想、漫画・アニメ、中国戯曲、歌舞伎を織り込み、東洋文化と西洋文化を渾然とさせたエクスペリメンタル・ロック・オペラを作り上げる音楽集団として、とみに注目を集めています。「パンタヨ」は、東南アジアの民俗楽器カリンタン(突起の付いた金属打楽器)を中心としたアンサンブルで、フィリピンの伝統音楽を演奏する、フィリピン系カナダ人女性からなるグループ。共にさまざまなバックグラウンドをもつこの二つのグループがコラボレーションを果たしたのが、今回ご紹介する「Severed」のサウンドトラックです。




 4月26日にリリースされたばかりの「Severed」は、カナダのデベロッパー「DrinkBox Studios」が開発した、PS Vita用ファーストパーソンアクションRPG。プレイヤーは片腕を失った女性戦士サシャとなり、切断した敵の四肢を身に着け、能力のアップグレードをはかりながら、行方不明となった家族を捜してダンジョンを探索していくというのが大まかなコンセプトです。サウンドトラックはゲームに先がけて4月11日付でリリースされており、ゲストを含めて十数名におよぶ大編成でレコーディングされております。ハードな世界観とシステムを備えたゲーム本編に呼応するかのように、サウンドトラックもギンギンな尖りっぷり。カリンタンのパーカッシヴなグルーヴ感を全面に押し出し、濃厚な民族色の立ち込めたミニマル/アンビエント&ミクスチャー・プログレッシヴ・メタルで構成されています。ステージBGMは探索時と戦闘時でアレンジが異なり、戦闘時ヴァージョンはYAMANTAKA//SONIC TITAN側のカラーが反映され、より禍々しくハードなエッジが効いてきます。両グループの化学反応が楽しめるのも、本サントラの醍醐味でしょう。



http://severedgame.com/


「Yamantaka//Sonic Titan Interview」
(from goldsoundzblog)

「Yamantaka//Sonic Titan:Identity politics should always be this fun」
(from NOWTORONTO|2012.01.26)

「Pantayo Bridges the Filipino Diaspora With Their Take on Kulintang」
(from NOISEY.VICE.COM|)

「四肢の切断が鍵を握るPS Vita向けの新作RPG「Severed」の発売が4月26日に決定」
(from doope|2016.04.12)


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