2017年8月19日土曜日

2017年8月19日(土)「VGM SPARK STAGE1 【源平討魔伝・激奏禄】」@吉祥寺Club SEATA レポート



https://t.livepocket.jp/e/vgmspark1


今回のイベントを一言で言いあらわしますと


 「ありがたや」


これに尽きます。


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【O.T.K】


 1995年結成、活動歴20年を超えるゲームミュージック(とY.M.Oの)カヴァートリオ。実はお目にかけるのは今回初めてだったのですが、年季と熱気のこもったパフォーマンス(と寸劇)はこりゃすごいという印象。キーボード、ベース、ドラムスのバンドサウンド+打ち込みとクロスオーヴァーさせ、変拍子とキメがバリバリの楽曲群をハードなパフォーマンスで弾きこなす。選曲は、「ローリングサンダー」「キングオブキングス」「サイバースレッド」「アサルト」「F/A」「バラデューク」「モトス」など。バンドアレンジで聴く「キングオブキングス」も実にイイものですね。



【hally [VORC]】


 豊富な知識と膨大な資料の渉猟、そして関係者への取材をまとめた大変な労作であり、チップチューン史の黎明から興隆を知るうえで格好の一冊である『チップチューンのすべて All About Chiptune』を今年五月に上梓されたhally氏によるファミコン実機DJは、中潟氏が手がけられたファミコンタイトル楽曲メドレー(この日のためのスペシャルセット)と、バトルガレッガ楽曲メドレーの二本立て。現在のチップチューン技術で奏でられる「暴れん坊天狗」曲がやはりエグかった。ループをほうっておくと際限なく一音ずつ上がっていく仕様のステージ選択BGM「Verge of Danger」は限りなくドープだし、ハイスコア時BGMであるファミコンテクノ「Delta Rap」はやはりアガります。



【ファミ箏】

 箏×3、三味線×1、尺八×2の編成による和楽器ゲームミュージックグループ。オープニングは「戦場の狼」から始まるカプコンメドレー。「ロックマン」では途中で尺八によるカーソル音再現、メニュー画面でのE缶回復も入れているという芸の細かさ。「暴れん坊天狗」からはまさかの「Strontium 90」というシブい選曲。原曲のおどろおどろしさが見事に倍化しておりました。ゲームボーイ版「平安京エイリアン」の一連の楽曲アレンジもまことに雅な印象。オープニングからエンディングまでを演るという趣向で15分をゆうに超える「源平討魔伝」メドレーは、オール和楽器の響きによる編曲の妙もさることながら、より一層、諸行無常の響きがありました。もしや「だじゃれのくに」も? と思っていたら、しっかりだじゃれ入りで演られており、流石、ぬかりがない。ありがたやありがたや。ラストは、「レイブレーサー」の“Kamikaze”と、「妖怪道中記」をセットで。



【中潟憲雄 with AQUA POLIS】

 トリはもちろんアクアポリス。2月の東京ゲーム音楽ショー2017から半年ぶり、再結成後二度目となるライヴ。ラインナップは中潟氏(keyboards)、桜井良行氏(bass)、三苫裕文氏(guitar)、川上達朗氏(drums)。一曲目は東京ゲーム音楽ショー2017でも披露されていたプログレッシヴ・フュージョンチューン「夜明け」。続く「サンダーセプター」は、クラシックのフィールドのみならずゲーム音楽の演奏参加や、東京ゲーム音楽ショーやゲームタクトにも出演されているヴァイオリニストの松原まりさんを迎え、さらにキレを増したアレンジで展開。ドラムスの川上氏の知人でもある梅田NORI氏をヴォーカルに迎えての「超絶倫人ベラボーマン」は、NORI氏のシャッキリしたキャラクターと朗々たる歌声で強烈な印象。続けて、弓達公雄氏作詞によるフォークソング「方眼紙の唄」も、NORI氏が担当。また、前回の東京ゲーム音楽ショーにはスケジュールの都合により来られなかった小野浩(Mr.ドットマン)氏が「二人の景清」を伴ってステージに上がられていました。メガドラアイドルこと愛沢めみさんの(夏コミには間に合わなかった)新作コスプレROMに提供された書き下ろし提供曲「Spages」は、シンセサイザーを全面に押し出した、80年代のアクアポリスのテイストも感じさせる壮大な仕上がりの一曲。

 ここで、ドラムスが菅野詩郎氏に代わり(ドラムのセッティング中の中潟氏のMCでは、レアな「未来忍者」販促ポスターがステージに登場する一幕も)、ハイライトである「真組曲 源平討魔伝」へ。CDで幾度となく聴いておりますが、それでもやはり生のパフォーマンスは言わずもがなの熱量の塊。菅野氏のドラムはやはりおそろしくパワフルであります。アンコールは、阿部隆大氏とのユニット ACRYLICSTABのヴォーカリストであるUyuさんを迎えての「ワンダーモモ」。オリジナル版はTAKA&まさごろの二人がキュートパートとシャウトパートをスイッチングする形でしたが、Uyuさんが一人で両パートを歌いこなされており、素晴らしいヴォーカルパフォーマンスでした。歌詞が新たに書き下ろされていたところもポイント。オーラスで、ロウソク型ペンライト(物販アイテム)が客席から一斉に振られましたが、形が形だけになかなか異様な光景になっていました(笑)。アンコールはさらにもう一曲用意されており、満を持しての「未来忍者」。再び松原まりさんを迎えてのパフォーマンスで締めくくられました。

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会場物販ラインナップのひとつ、景清の扇子






源平討魔伝の30年、そしてアクアポリスの再始動 『源平討魔伝~参拾周年記念音盤~』

東京ゲーム音楽ショー2017: 中潟憲雄氏LIVE、菊田裕樹氏LIVE 覚え書き

中潟憲雄・大久保高嶺『暴れん坊天狗音楽集』