2017年8月5日土曜日

イギリス放送版パペットムーミンのサイケなサウンドが30年を経てサントラ化 ― Graeme Miller & Steve Shill『The Moomins』




 トーベ・ヤンソンが監修に参加し、ポーランドのアニメーションスタジオ「Se-ma-for」とオーストリアの「Jupiter Film」の共同で制作された、一話9分構成によるムーミンのストップモーション・パペットアニメは、ポーランド、オーストリア、ドイツの三ヶ国で1977年から1982年にかけて放送されました。日本では、1990年に全6シーズン78話が、1969年/1972年版アニメでムーミンを演じた岸田今日子の吹き替えでNHK BS2にて放送。2003年7月にはそのうちの36話分が日替わりで劇場公開され、2004年7月にDVD BOXがリリース。2012年3月には、松たか子、段田安則が吹き替えした50話分のエピソードがNHK BSプレミアムにて放送され、2013年6月にDVD BOXがリリース。2008年、2010年にはそれらのリメイク&再編集劇場版「ムーミン谷の夏まつり」 「ムーミン谷の彗星」が制作され、2009年、2015年にそれぞれ日本公開されています。そして今年12月には、劇場版第三作となる「ムーミン谷とウィンターワンダーランド」が日本でも公開予定です。また、チェコスロバキア生まれの作曲家/サックス奏者 エヴジェン・イリーン(Eugen Illin)と、ポーランド生まれのアンドレイ・リキッキ(Andrzej Rokicki)が手がけた劇伴は、日本では2003年にランブリングレコーズから三枚に分けてサントラCDでリリースされています。

Opowiadania Muminkow - IMDb

http://www.fuzzyfeltmoomins.co.uk/index.html






 前置きが長くなりましたが、今回クローズアップするのはイギリス放送版。イギリスでは1983年ごろより一話5分構成・全100話の形に編集されて放送され、俳優のリチャード・マードックがナレーションを務めたほか、グレアム・ミラースティーヴ・シルによるオリジナル劇伴に差し替えられています。放送当時はオフィシャルな形で音源化されることはありませんでしたが、2015年のレコード・ストア・デイに、イギリスの再発レーベル「Finders Keepers」からメインテーマが7インチシングル/ダウンロードの形でシングルカットされ、翌2016年には、レコード、CD、ダウンロードの形でサウンドトラックと、クリスマスシングル「The Moomins: Silent Night」が世に出ることとなりました。コレクターのツボをくすぐる発掘音源のリリースに定評のあるレーベルが、また一つイイ仕事をしたのです。






 グレアム・ミラースティーヴ・シルの二人の若者の共同作業によって自宅でつくりあげられたサウンドは一言で言うと「かなり節操がない」もので、アコースティック、サイケ、ニューエイジ、ポストパンク、ローファイテクノが無邪気に入り混じった、素朴なようで複雑な味わい。The Quietusが今年2月にグレアムに行ったインタビューによると、クラフトワークやブライアン・イーノ、ギャヴィン・ブライアーズ、そして「リーズ市立図書館のコレクション」などから影響を受けていて、さらにあらゆるインプットを無差別にとり込んで再加工するという「技術としてだけではなく、アイデアとしてのサンプリング」でスコアが生み出されていったとのこと。


「INTERVIEW: The Moomins Composer Graeme Miller」
(from The Quietus|2017.02.15)


 グレアムはその後、コンポーザーのみならず、より広範的なアーティストとしても活動を展開しております。また、今年の7月7日~9日には、イギリスで開催された「ブルードットフェスティバル」において、「ムーミン谷の彗星」の1983年版を、「Live Rescore」した形で放映したとのこと。また、スティーヴ・シルは80年代後半よりテレビプロデューサーとして活躍しており、テレビドラマ「デクスター~警察官は殺人鬼~」や「シカゴ・ファイア」「THE FLASH/フラッシュ」など数々の作品に携わり、2010年には「デクスター~警察官は殺人鬼~」でエミー賞監督賞を受賞しています。

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